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誰かが泣く声 [Diary]

ぼくには、いわゆる霊感のようなものはありません。どっちかというと、非スピリチュアルな人間です。心霊現象みたいなものにも、あったことがない。

山道を歩いていて、何かありそうな感じがして立ち止まってみたらそこに古い祠(ほこら)があった、というようなことは何度かありましたが、これはたぶん、元々そんな「気」が流れている場所だった、という方が正しいと思う。マイナスイオンが多いとか、そういうことなのかもしれない。なぜならそういう場所で感じる感覚って、滝や急流や森の中で感じる感覚に似ているから。根拠はないけど、そんな気がします。

でもひとつだけ、いまだに説明のつかない不思議な経験をしたことがあります。10年以上前のことです。

その時期ぼくは自宅で仕事をしていて、その日は打ち合わせのために、新橋にある会社の事務所に出かけていました。打ち合わせの最中、Tomo.さんから電話がかかってきました。当時は携帯を持ってなくて、社長が電話を取って「奥さんから」と言って回してくれたのを覚えています。

それはTomo.さんと共通の友人であるMちゃんが亡くなったという電話でした。

「M、死んじゃったんだって」
「……どうして?」
「ガンだったんだって」
「いつ?」
「おととい」
「……」
「明日、告別式だって」

電話の後ろでは、女の人の泣き声がずっと聞こえていました。

そのときはそんなつもりはなかったけど、ぼくはかなり動転していたようです。すぐに打ち合わせを切り上げて家に帰ったんですが、昼間の都心から横浜まで1万円近く費やしてタクシーを飛ばしたから(どう考えてもその時間帯なら電車の方が早いはずです)。

タクシーの中で、ぼくは家に帰ったらTomo.さんにどんな顔でどんなふうに話しかけようかと考えていました。その間ずっと、電話の後ろで聞こえていた女の人の泣き声が頭の中で回っていました。

家にはTomo.さんしかいないはずでしたが、その女の人が誰なのかという疑問は、不思議にわいてきませんでした。ただ、なんとなくもうひとりの共通の友人であるRちゃんが家に来ているんだろう、と想像していたのを覚えています。風景として。Mちゃんのことを聞いて、家に来てるんだろう、それで電話をしているTomo.さんの後ろで泣いてるんだろう、と。

家にはもちろんTomo.さんひとりしかいませんでした。
「ひとり?」とぼくが聞くと、Tomo.さんは不思議そうな顔でうなづきました。

あの泣き声は誰だったんだろう、と今でもよく考えます。その泣き声は、電話を変わった最初から、つまり話の内容を聞く前から、ずっと聞こえていたのです。

本当に、誰の声だったんだろう?
タグ:不思議
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