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アウトライナーにはプロセス型とプロダクト型がある [アウトライナー]

アウトライナーと呼ばれるソフトはたくさんあるけど、長年それらを使い続けているうち、ある特定の条件を満たしていないと、自分の思うようなアウトライナーの使い方ができないことに気づいた。

「Happy Outlining!」の中では、その条件を満たしているものを仮に「私的・真のアウトライナー」とよんだ。

その条件とは、
条件1 アウトライナーの基本機能を満たしていること
条件2 シングルペイン方式であること
条件3 「本文」と「見出し」を区別しないこと
条件4 ホイスト(フォーカス/ズーム)機能がついていること

もちろんこの条件を満たしていない「アウトライナー」もたくさんあるし、それらが「偽のアウトライナー」というわけでは全くない。「真のアウトライナー」という語感が我ながらステキじゃないと思うこともあって、もう少しマシな言い方がないかといろいろ考えてみたこと。



以前ワイナーのScripting News経由で知った、ブロガー間でのアウトライナーをめぐる論争があまりにも面白かったので、一連のやり取りを全て訳して公開したことがある。

ものすごく簡単にいうと「アウトライナーを使うことは有害だ」という〈有害派〉と、「いや、アウトライナーは有益だ」という〈擁護派〉の論争なんだけど、何が興味深かったかというと、同じアウトライナーの話をしているにも関わらず、「有害派」と「擁護派」との間でどこか話がかみ合っていないこと。

「アウトライナーは、本来階層構造で表現できないものまで階層構造の中に閉じ込めてしまう」と主張する〈有害派〉に対して〈擁護派〉は「アウトライナーは階層構造を強制などしないし、むしろテキストの固まりの移動が容易にできること、マクロな視点とミクロな視点を自由に行き来できることでより自由に編集ができる」と主張する。

かみ合ってないというのは、この2つの主張は実は文書作成の異なるフェーズについて話をしているからだ。〈有害派〉はアウトラインを「結果(プロダクト)」として捉えているのに対して、擁護派はアウトラインを文書作成の「過程(プロセス)」と捉えているということだ(この論争については以前「結果と過程のアウトライン」という記事に書いたので、興味ある方はご参照を)。



で、ここからが本題なんだけど、アウトライナーに対するこの2つの見方と同様に、アウトライナーそのものにも2つの思想がある。

アウトラインを常に流動する文書作成または思考の過程を捉えるものと考えるタイプ(=プロセス型)と、最終的に到達するべき完成品の骨組みを示したものと考えるタイプ(=プロダクト型)だ。

いちばんわかりやすい違いは「見出し」に対する考え方だ。

プロセス型アウトライナーには「見出し」という概念がない。トピックを無限に入れ子にできるけれど、どれが見出しでどれが本文かという決まりはない。あるトピックが見出しになるか本文になるかは、そのトピックがどの階層に位置づけられるかによって決まる。

何かを書いている途中の段階(プロセス)ではアウトラインは流動的であり、アウトラインの中のトピックが最終的に見出しになるのか、段落を構成するセンテンスの一部になるのか、単なるメモ書きなのかは、わからない。

だからこそ全てのトピックが等価である必要があるし、そうでなければ自由に思考プロセスをコントロールすることはできない。そういう思想を持っているのがプロセス型アウトライナーだ。

一方で、アウトラインを「完成品の骨組み」と考えるプロダクト型アウトライナーでは、アウトラインは完成品の本文の「見出し」と対応している。典型的なのはワードのアウトラインモードだ。また、アウトラインと本文を別ペインに表示するダブルペイン(2ペイン)型アウトライナーも、多少意味合いは違うけれどこちらに近い。

これはこれで便利ではあるけれど、このタイプのアウトライナーで思考プロセスをアウトラインとしてコントロールしようとすると、「見出し=完成した文書の構成」に頭が縛られてしまってうまくいかない。

また、最終的には消えてしまうけれども、プロセスの中で重要な役割を果たす、いわば「補助線」のようなトピックがあるけど、そういうものもうまくアウトラインの中に組み込むことができない。

この違いは、ちょっと考えるよりずっと大きい。



ということで、もうおわかりのように、ぼくがこれまで「真のアウトライナー」と呼んできたものは言わずもがな、アウトラインをプロセスとして捉える「プロセス型アウトライナー」のことだ(少しだけ、ステキな名前になったね)。

そして、多くの人が唯一知っているアウトライナーがワードのアウトラインモードであるということが、アウトライナー、特にプロセス型アウトライナーについての理解を難しくしている面は否めないと思う。

関連:
私的・真のアウトライナー
結果と過程のアウトライン(アウトライナー有害論争のまとめ)
アウトライナーとしてのWord(今にして思えばプロセス型とプロダクト型の使い分けについて書いている)
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