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制御された飛躍、超越する飛躍 [アウトライナー]

アウトラインはリニアな一本の流れであり、しかも階層(ツリー)構造になっている。だから、アウトライナーを使うと思考の飛躍が生まれにくい。

ときどき、そんなふうに言われることがある。

でも、個人的には「だからこそ」飛躍が生まれやすいと思っている。



思考というのは、放っておいても勝手に飛躍するものだ。だからわざわざ「飛躍させる」必要はない。

むしろ、必要なのは「有効な飛躍」を作ることだ。あるいは「制御された飛躍」と言いかえてもいい。変な言葉だけど、アウトプットを目的とした発想の場で求められる飛躍とは、そういうものではないかと思う。

人に何かを伝えるために、ハッとさせたり、違いを際立たせたり、空中に放り出して劇的な効果を生んだり、というような意味あいでの飛躍(この場合の「人」には自分も含むんだよ)。

そのためには、飛躍がリニアな流れの中に配置され、位置づけられる必要がある。

アウトライナーの大きな特徴のひとつは、構造の中から要素を抜き出し、また組み込むことが容易にできることだ。

かちっとした構造のどまん中に、その構造の外から来たものを差し込む。逆になめらかに流れるフローの中間をごっそり引き抜く。全体を俯瞰し、その結果(効果)を確認する。

だから「制御された飛躍」が作りやすいのだ。



いや、自分が求めている「飛躍」はそういうのじゃないんだ、という人がいるかもしれない。

思いもつかなかった斬新なアイデア。自分の能力の限界を超越するかのような:劇的な「飛躍」。そうしたものをサポートする機能もまた、発想技法やアイデアプロセッサーというようなものに求められるものかもしれない。

でも、くり返すけど、思考は放っておいても勝手に飛躍するものだ。

むしろ飛躍を邪魔しているのは、思いつきを構造の中に安定して組み込もうとする心理ではないか。矛盾なく、気持ちよく構造化しようとする心理ではないか(仮説ね、仮説)。

思考は勝手に飛躍する。だから気持ちよくアウトラインの中に収まってくれたりはしない。必ず矛盾し、はみ出すものが出てくる。それでいいのだ。

アウトラインは、かりそめの存在だ。いつでも、いくらでも組み替えることができるからだ。

かりそめの存在に、思いつきがしばられる必要はない。逆に思いついたことに合わせて、アウトラインを変えるのだ。「矛盾に合わせて構造の方を変える」と言いかえてもいい。

思いつくことと、構造を変えることを同時にやうとするとうまくいかないことが多い。だから、分ける。それを手法化したのが「シェイク」だ。

「シェイク」とは、アウトライナー上でトップダウン思考(≒構造を考えること)とボトムアップ思考(≒個別の思いつき)を交互にくり返すこと。コツは、一度に一方だけをやることだ。

トップダウンとボトムアップを「シェイク」する(1)
トップダウンとボトムアップを「シェイク」する(2)



ところで不思議なことに、アウトラインを「シェイク」し続けた結果として、当初は思いもよらなかったことを書いてしまったり考えてしまったりすることがある。

いつの間にか、本当に自分の限界を超越するかのような飛躍をしてしまうことがあるのだ。

これは決して、アウトライナーが思考の飛躍をサポートする機能を持っていたからではない。

ここが重要なところだ。



アウトライナーで「文書を書き、考える」技術についての本、発売中。
アウトライナー実践入門 ~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術~
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【告知】夏の知的生産 & ブログ祭り(8月28日) [Diary]

イベントの告知です。

8月28日に「夏の知的生産&ブログ祭り」と題されたイベントが開催されます。そこにLifehacking.jpの堀正岳さん、R-styleの倉下忠憲さんとともに参加します。

堀さんの告知記事によれば
今回のイベントではこの三名のクロストークを軸に、今を生き抜く基礎素養としての知的生産とそのツールという話題からイベントを開始し、後半では知的アウトプット先としてのブログをどのように人生に寄り添わせるかという話題へとシフトしてお届けします。

このメンバーでこの内容、どう考えても淡泊にはなりようがない。

「知的生産」と「ブログ」という2つの大テーマがあるわけですが、この2つは通底しています。あるいは、この2つが通底する領域、通底するようなあり方について語るイベントなのではないかと(勝手に)思っています。

キーワードは考えること、それを形にすること、そのプロセス、ツール……、まだまたありそうです。

ぼく自身はもちろんアウトライナーとアウトライン・プロセッシングが切り口になる(はず)です。

3人の違いという形で現れるにせよ、共通点という形で現れるにせよ、その場でまったく新しい何かが生まれるにせよ、そこにはけっこう重要な何かがあるんじゃないかと。



ぼく自身は、この種のイベントに登壇側で参加するのは初めてです。レアです(なにしろ人前に出ることは滅多にありません)。

(._. ) ←

まあ、知名度も読者数もお二人とは比べものにならないわけで(一部わーぴー読者の方とアウトライナーに興味のある方を除き)、もう素直に末席で楽しんでしまおうと思っています。堀さん、倉下さんを相手にこの話題、楽しく刺激的でないはずがありません。

知的生産とブログ。あるいはもっと一般化して、考えること、文章を書くこと、そのためのツールや手法やプロセスに興味がある方は、ぜひ。

詳細およびお申し込みはこちらから。

堀さんによる告知記事

倉下さんによ告知記事

平凡でめずらしくもない知らない生活 [Diary]

いつもの散歩コースの終点から、乗ったことのないバスに乗って、知らない道を通って、降りたことのない終点で降りる。

すごく遠くというわけではない。その気になれば歩いて家に帰れない距離ではない(たぶん2時間くらい)。

それほど大きくないJRの駅があり、河川敷のある川が流れていて、その向こうには大きなショッピングセンターと工業団地がある。

特にめずらしくもないけど、うちの近くにはないものばかりだ。普通に生活していれば、自分がまず触れることのないものだ。

チェーン店ぱかりの商店街にある、チェーンのカフェに入る。

メニューも内装も特にめずらしくもないけれど、ここには平凡でめずらしくもない知らない人たちが送る、平凡でめずらしくもない知らない生活がある。

JRと河川敷とショッピングセンターと工業団地がある場所で生活する、知らない大学生が平凡でめずらしくもない勉強をしていたり、知らない老夫婦が平凡でめずらしくもない会話をしていたりする。

ときどき、平凡でめずらしくもない知らないものを補充する必要がある。

7月9日『アウトライナー実践入門』が発売されます! [アウトライナー]

ようやくの告知です。
去年から取り組んできたアウトライナー本が、7月9日に発売されます。

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アウトライナー実践入門
〜「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術〜

Tak. 著
2016年7月9日発売
技術評論社

Amazonで見る
技術評論社の新刊案内ページで見る

Kindle版も「ほぼ同時」発売されます(今のところ紙版から「数日遅れ」で発売されるようです)。
電子書籍版も同時配信されます(Amazon Kindle、Gihyo Digital Publishing、楽天Kobo、honto、ヨドバシ・ドット・コム)。



2015年の5月にセルフパブリッシングで出版したKindle本『アウトライン・プロセッシング入門』は、本当にありがたいことに、当初想像もしなかったほどたくさんの方の手に取って(?)いただくことができました(ありがとうございます)。

でも、やっぱりKindle本だけでは届かない人がいる。アウトライナーを必要としている人はもっとたくさんいる、その人たちに届けたい、という気持ちがありました。

そんなわけで、紙の本です(でもKindle版も出ますよ!)。

『アウトライン・プロセッシング入門』をベースにしていますが、全面的に改定し、新コンテンツを追加してボリュームは約2倍になっています。

目次はこちらを参照



本書は、今最高に旬なWorkFlowyに代表される、プロセス型アウトライナーを使いこなすための本です(プロセス型アウトライナーとは、本書で紹介する技法の前提となる「1ペインで見出しと本文を区別しないタイプのアウトライナー」です)。

ただし本書は「WorkFlowyの本」ではありません。その他のアウトライナーの本でもありません。

広い意味での「書くこと」「考えること」を日常的にしている人々のための、個別のアプリに依存しない、アウトライナー一般の使い方、汎用的な技法としてのアウトライン・プロセッシングの本です。

『アウトライン・プロセッシング入門』を読んでくださった方、また普段このブログを読んでくださっている方はご存じの通り、それはいわゆる「アウトラインを作って文章を書く」というイメージとは、ずいぶん違います。

「アウトラインをつくる」という発想を捨てることが、アウトライナーの可能性を解き放つと思っています。それを知ってもらうというのが、本書の第一の目標です。

だから、いつかWorkFlowyがなくなった世界でも(!)、本書は役に立つはずです。そこにアウトライナーがある限り。



とか言いながら、本書では初めてアウトライナー/アウトライン・プロセッシングに触れる方のために、アウトライナーの簡単な導入ガイドをつけました。

WorkFlowyを導入し、基本的な機能を使えようになるまでのステップを解説しています。

また、クラウドサービスが使えない環境の方のために、Microsoft Wordのアウトラインモードを擬似的にプロセス型アウトライナーとして設定する方法も紹介しています。

しんせつだ!



本書は、『アウトライン・プロセッシング入門』でやり残したこと、やりきれなかったことをぶち込んだ本でもあります。

以下、増量ポイントをランダムに。
たとえば……

大量の図版の追加。『アウトライン・プロセッシング入門』では、もっと見本が見たい、図版がほしいというコメントをいくつかいただきました。本書には、たくさんのアウトライン見本が入っています。多くを、スクリーンショットではなく図版として起こしています。

新たなアウトライン・プロセッシングの技法。コアとなる〈シェイク〉に加えて、その前提となるアウトライン操作の5つの「型」について、アウトライン見本とともに解説。

アウトライナーによるタスクの扱いと「ライフ・アウトライン」。執筆開始時に作成中だった電子書籍『ライフ・アウトライン(仮)』のコンテンツが一部流入したものです。

アウトライナーと知的生産についてのインタビュー。倉下忠憲(@rashita2)さん、ぱうぜさん(@kfpause)という、いずれも「文章を書き、考えること」を仕事にされている(そしてぼくが尊敬する)おふたり仕事の中に、アウトライナー(WorkFlowy)がどのように組み込まれていったか、そしてどのように運用されているか、詳細にうかがいました。

「アウトライナーフリーク的アウトライナー論」に新エッセイ。内容が古くなった「アウトライナーフリーク的Evernote論」を外した代わりです。

アウトライン・プロセッシングの全行程を掲載。フリーライティング結果をアウトライン化し、〈シェイク〉をくり返して1つの文章として完成するまでのアウトラインの変遷を無謀にも全て掲載。アウトライン・プロセッシングと〈シェイク〉のイメージをつかんでいただくための試みです。



そんなわけで、本書がアウトライナーとアウトライン・プロセッシングの深遠な世界への入り口になれれば幸いです。

昔からのアウトライナーユーザーの方も、WorkFlowyからアウトライナーに触れた方も、まだ使ったことないけど興味があるという方も、ぜひ。