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『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』 [書評・書籍紹介]

バレットジャーナルに興味がある人に待望の本、『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』(Marie著)が明日(10月13日)発売です。

バレットジャーナルは、ライダー・キャロル(Ryder Carroll)氏によって開発された、アナログノートを使ったスケジュール管理・タスク管理のシステムです。

公式サイト:Bullet Journal - The Analog System for the Digital Age

「バレット」とはbullet。元の意味は「弾丸」ですが、箇条書きの頭の「・」などの記号のことです。だから「箇条書き手帳」なんですね。

いわゆる手帳術ですが、「紙の手帳に箇条書き」という言葉の響きからは想像できない、非常に奥の深いシステムです。タスク管理・スケジュール管理だけでなく、個人の生活の驚くほど広い範囲を扱えます。

『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』(以下「本書」)は、このバレットジャーナルの入門書です。



実は本書を献本でいただいたので、発売日前に読むことができました。
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著者のMarieさんが、セルフ・パブリッシングのKindle本『ちいさなくふうとノート術:ごちゃごちゃの頭を整理して楽しく暮らす私のノートの使い方』を執筆される際に、『アウトライン・プロセッシング入門』を参考にしていただいたからとのことです。

※ちなみに本書は大幅に改訂・増補されて、『ちいさなくふうとノート術』とはまったく別の本と言っていいものになっています。

Marieさんのブログ「Mandarin Note」はずいぶん前から知っていたし(語学学習で有名なブロガーさんという認識でした)、『ちいさなくふうとノート術』も素敵な本だったので、素直にすごく嬉しかったです。こういうことがあると、なんというか、ブログ書いたり本書いたりしてよかった、と思います。



本書の目次構成は以下のようになっています。
Prologue バレットジャーナルは、私の人生をよくしてくれる相棒
第1章 バレットジャーナルの作り方、始め方
第2章 私は、こんなふうに使っています
第3章 つくると便利な「コレクション」アイデア集
第4章 みなさんのバレットジャーナル、見せてください!
Epilogue バレットジャーナルをはじめて、いちばん私が変わったこと
さらに詳細な目次はこちら

バレットジャーナルの基本は、第1章で説明されています。公式サイトで解説されている内容のエッセンスが凝縮されています。これだけでバレットジャーナルを使いはじめることができます(もちろんノートとペンを用意してね)。

第2章では、上記基本を踏まえた上でのMarieさん自身の使い方が解説されています。このパートが何とも魅力的です。

バレットジャーナルの魅力のひとつは、(ハードがプレーンなノートなので)自由にカスタマイズできるという点です。この章では、Marieさん流のカスタマイズした使い方に触れることで、その魅力を感じられます(何にしてもカスタマイズ、パーソナライズっていいものです)。

特に「例」がリアルです。読者が、自分の生活の中にその手法やツールを組み込むことの期待が膨らんでくるような、生きた例です(これ、実際に書く立場でいうと、すごく手間と根気がいるのです)。

バレットジャーナルを使うことで、Marieさん自身がどんな影響を受け、生活がどう変わったかの記述がこれに加わることで、Marieさんという個人の生活の中にバレットジャーナルが息づいていることが感じられます。

ページがカラーであることと、狩野直子さんによる魅力的なイラストもこの部分の魅力を高めています。

第3章も、カスタマイズの魅力ですね。「コレクション」というのは、パレットジャーナルの基本モジュール(第1章で紹介されています)とは別に設けられる自由なコンテンツパートです。ここも、さまざまな実例が紹介されています(読書記録、買いたいものリスト、贈りもののログetc.)。自分だったら何を入れよう、という夢が膨らむ部分です。

そして第4章では、Marieさん以外のバレットジャーナルユーザーのさまざまな使い方が紹介されています。これが、ここまで紹介されてきたMarieさんのバレットジャーナルと、驚くほど印象が違うところがいい。ユーザーの個性を吸収する自由度とカスタマイズ性がよくわかります。

自由度が高い手法やツールほど、初心者の導入へのハードルは高くなってしまいがちです。「決まり」が少ないから、どうやっていいのかわからない、これでいいのかわからない、という感覚を抱くわけです。だから、いろんな人がいろんな形で自分の生活の中に組み込んでいる様子がうかがえる、というのはとても重要なポイントです。



そんなわけで、本書は非常にわかりやすく読みやすいバレットジャーナルの入門書であると同時に、いろんな角度からバレットジャーナルの魅力を伝えよう、伝えたいという気持ちが伝わってくる本です(そして、実際に伝わってきます)。

女性をメインターゲットに据えていると考えられる表紙ですが、もちろん男性にもおすすめできます。

そろそろ来年の手帳について考える季節です。バレットジャーナルに興味がある人はもちろん、毎年自分に合う手帳選びに迷う人は、本書でバレットジャーナルに触れてみてはいかがでしょうか。

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何かを照らす言葉の置き方、あるいは『目を閉じて、みえるもの』 [書評・書籍紹介]



るうさんの、『目を閉じて、みえるもの』を読む。

あることを伝えたり表現したりしたいのだけど、簡単に言葉にすることができない。そんなときは、周囲をそっと回るように何かを置いていくしかない。

この本の感想を書こうとして(「書評」はなぜか似合わない気がする)抱いたのは、そんな感覚だ。

そしてそれは、この本について語ろうとするときの自分の感覚でもあるし、この本の内容についての印象でもある。



(著者の言葉を借りれば)「あからさま」な文章たちが並んでいるにもかかわらず、この本は周囲をそっと回るように何かを置いていくという行為を思わせる。

簡単に言葉にすることができない何かを、別の言葉を使って照らす。その影について思い、その思いをまた別の言葉で照らすような行為。



何かを照らす言葉を、どんな順でどんな形に置いていくか。その置き方(構成、というべきなのかもしれないけど「置き方」の方がしっくりくる)に正解はない。

でも、「置き方」はとても重要だ。「置き方」ひとつで、いろんなことががらっと変わる。

角度が変われば影も変わるのだ。



そんな印象を経て読後感として残ったのは、継続するライフ(人生と生活)への意志(のようなもの)だった。

その読後感を生み出した言葉たちとその「置き方」に、ひっそりと個人的に共感する。

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【書評】『「目標」の研究』(倉下忠憲) [書評・書籍紹介]



来年の「目標」を立てようとしている人(きっとたくさんいるだろう)に朗報。

ありそうでなかった「目標」についての「研究」だ。ぜひ読んでみてほしい。本書を読めば、上手な目標の立て方や、目標を効率的に実現するためのステップが学べるだろう。

……とか書きたいところだけど、本書はたぶんそういう本ではない。



本書はこんな構成になっている。
・はじまりの物語
・Chap.1 三つのお話
・Chap.2 目標とは何か
・Chap.3 目標の弊害
・Chap.4 機能する目標に向けて
・Chap.5 人生にとっての夢や目標
・おわりの物語

Chap. 1で、私たちが当たり前のように口にする「目標を立てる」ということが実は簡単ではないこと、私たちが実は「目標」というものを理解していない、ということを示しつつ、
本書が目指すのは、読み終えた人が目標とうまく付き合えるようになることだ。目標についての雑学を増やすためではなく、自らの人生で実践できるようになることが目標である。

という「目標」が示されている。

Chap. 2からは、「目標」についての徹底的な考察が展開される。

まずは「目標」という言葉の定義。「目標」と「目的」の違いを示しつつ、目標とは何なのか(そして何でないのか)を考える。当然知っていると思っていた「目標」という言葉の意味を、実はよくわかっていなかったことに気づかされる。

Chap. 3では、安易な「目標」がもたらす弊害について指摘する。これは、おそらく誰にでも(特に自己啓発本や成功本をよく読む人なら)覚えがある(耳が痛い)ことばかりだ。

その上で、ではどんな目標なら機能するのかが、Chap. 4で考察される。「目標を立てるステップ」として以下が挙げられている。
目標を立てる。
目標を振り返る。
全体を俯瞰する。
もう一度目標を立てる。

ビジネス書に馴染んでいる人なら「ああ、PDCAを回すんですね」というかもしれない。このようにすれば、来年の目標はうまく立てられそうだし、目標の実現に向けて効果的にステップを踏んでいくことができそうだ。

ここまでの考察には文句なく納得感がある。「目標」についてよく理解できた。

でも、その知識を使って目標を立てて(ついでに「夢」も書き出して)どんどん実現させましょう、と本書は言わない。本書はそのようには終わらない。

冒頭に引用した本書の「目標」を思い出してみよう。

「目標について雑学を増やすためではなく、自らの人生で実践できるようになることが目標である。」

このセンテンスでいちばん重要なキーワードは、おそらく「目標」ではなく「実践」でもない。文中にもうひとつ残ったキーワード、つまり「目標」や「実践」の上位階層にあるものだ。「目標」や「夢」と付き合うためにいちばん重要なものだ。

そして、「目標」や「夢」を上位階層につなぐというのはどういうことか。本書の中に、そのヒントを見つけることができるだろう。

だから、本書は決して上手な目標の立て方や、効果的に目標を実現するステップを学ぶことが「目的」の本ではないけれど、これから来年の「目標」を立てようとしている人は、やっぱり一読してみるといいと思う。

(その上、上手な目標の立て方や、目標を実現するためのステップについてだって、実はちゃんと学べるのだ)



本書に関しては、できれば頭から順を追って、最後まで読んでみてほしい。各チャプターの末尾に挿入されている「断片的挿話」が面白いだけでなく、大きな意味を持っている。それ以外にも、あちこちに細かい構成上の工夫がこらされていて、構成の面白さも含めて楽しめる。

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[書評]ブログを10年続けて、僕が考えたこと(倉下忠憲) [書評・書籍紹介]

倉下忠憲さんの『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』(以下本書)を読み返した。3回目だ。

ぼくは基本的に著者の倉下さんのファンなので、ほとんどの本は買っている。でも短期間に何度も通して読み返す本は珍しい。

ごく自然に繰り返し読んでしまったし、読み直すことで少しずつ印象が変わる本でもあった。

その意味ではちょっと癖があるし、誰にでもお勧めできる本ではないかもしれない。でも、ある種の人にとても強くおすすめしたい本。



「ある種の人」とは。ブログについての本だから、もちろんブロガーなのだろう。でもブロガーといっても(本書の中でも整理されている通り)いろいろある。

一言でいうと、この本はすべての「(個人)ブロガー」に読んでほしい本だ。

マネタイズを第一義としてその手段としてブログを捉えている人、つまりアクセス数を稼ぐこと、アフィリエイト収入を得ること第一の目的としている(のではない)ブロガー。

「そんなブロガーいるの?」と思った人は、おそらく読者対象からは外れる(マネタイズを目指すのが悪いことだと言ってるのではない。念のため)。



何度も読み返した理由のひとつは、その構造にとても興味をひかれたからだ。目次は以下のようになっている。
はじめに
第一章 R-style ビギニング
第二章 ブログ及びブロガーについて
第三章 人はどのようにして毎日更新するブロガーになるのか
第四章 ブログの成功法則
第五章 ブログの今と未来
おわりに

目次に並んだ見出しを見ているだけだとわかりにくいけど、とても凝った構造をしている。主観的な自分語りと、客観的なブログ論が交互に出てきて、しかも少しずつリンクしているのだ。

すごく簡略化すると[これまで(自分話→客観論→自分話→客観論)]→[これから(全体論)]という構造だ。この構造が生まれた経緯については、倉下さん自身がメルマガに書かれていた。

この構造によって、本書は自分語りのエッセイとも、ありがちなブログ論とも一線を画している。これはとても勉強になった(思わず詳細にアウトライン化しちゃった)。



最初に読んだとき、これはとても「個人的」な本だと感じた。おそらく「自分話」の部分から強い印象を受けたからだ。

でも三回読み返すとずいぶん印象が変わった。個人的なことをベースに書かれているのは間違いないけど「個人的な本」という印象はずいぶん薄くなった。



少し脱線。

この10年の、ぼく自身の「ブログ」に関する感覚の推移は、本書に書かれたものとはずいぶん異なっている。それはたぶん、デイブ・ワイナーのブログ「Scripting News」をレファレンスにしてきたからだろう。

ワイナーは(以前から当ブログを読んでいただいてる方ならご存じの通り)最初のアウトライナー「ThinkTank」を開発した人。アウトライナーの神様みたいな人。そして同時に世界最古のブロガーの一人でもある。まだブログという言葉がない頃からのブロガーだ。

「Scripting News」の特徴は、あらゆるものがミックスされていることだ。本業の開発はもちろん、映画も自転車も文章を書くこともメディア論もアメリカンおじさんジョークも政治についての見解も。

ただし、単なる「何でもあり」ではない。いずれもワイナーという個人のフィルターを通過した「パーソナル」なものごとだ。

だからこそ、一見雑多な内容でも、読んでいるうちにワイナーという個人がどんな人で何を考えているのかが(総体として)浮かび上がってくる。ワイナーの仕事の背景にあるものの姿、その厚みをありありと感じることができる。そしてワイナーの仕事を知れば知るほど、そこに密接な関係があることが感じられる。

ぼくはそういうものが(そういうことができるのが)「ブログ」だとずっと思ってきたし、そこから強い影響を受けてきた。

一口で言うなら「個人的(personal)であり、個人的(private)ではない」ということ。

そして本書の著者、倉下忠憲さんのブログ「R-style」から感じるのも、まさにそのような感覚だ。「個人的(personal)であり、個人的(private)ではない」。

そして本書、『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』からもまったく同じ匂いを感じる。「個人的(personal)であり、個人的(private)ではない」ブログを10年続けて考えたことについて書かれた「個人的(personal)であり、個人的(private)ではない」本。



本書は「マネタイズを第一義としてその手段としてブログを捉えている人、つまりアクセス数を稼ぐこと、アフィリエイト収入を得ること第一の目的としている(のではない)ブロガー」を対象にしていると書いた。

でも逆説的だけど、ブログを通じたマネタイズ(もしくはもっと広い意味での「利益を得ること」)についてのヒント、あるいは少なくともそのことについて考えるきっかけが、本書にはたくさん含まれている。

当たり前だけど、倉下さんはブロガーであると同時にプロの物書きだ。つまり書くことを通じてお金を稼ぐ(稼がなければならない)人だ。しかもブログをきっかけに物書きになり、物書きになった後も毎日ブログを更新している人だ。

その意味では、とても厳しい場所からブログというものを見ているのだ。

同時に、セルフブランディングについての本を書いていることからもわかるように、今日的なマーケティングについても造詣が深い。

マネタイズが第一義でないからといって「お金のことなんか知らない」本ではないということ。そのことも、何度も読み返していて強く感じたことだ。



今の本書の個人的印象は、「日本のブログの過去・現在・未来を冷徹に、そして希望を持って考えた本」だ。

だからこそ、すべての「(個人)ブロガー」におすすめしたい本なのだ。

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