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自分のエネルギーを使って他人の人生を生きる [Diary]

夢で、Mちゃんと飲み屋のカウンターに並んで日本酒を飲みながら話をした。Mちゃんが夢に出てきたのははじめてだった。

Mちゃんがこの世界にいないことはもちろんわかっていて、でも並んでお酒を飲んでいることに対してまったく違和感を感じなかった。

それは昔、実際にMちゃんと飲んだことのある五反田の飲み屋で、店内の様子もカウンターの奥にいる大将もそのときのままだけど、時代は現在で、自分は42才なんだけどMちゃんは最後に会った27才のまま。

年齢の差は夢の中でもちゃんと認識していて、
「ずいぶん離れちゃったねえ」
「でも40代になってもあきれるほど変わらないね」
「貫禄がなさすぎて仕事で損ばっかりするけど」
なんていう会話を交わしつつ、ほっけをつつきながら日本酒をちびちびした。

そして十数年ぶりに夢に出てきてくれた死者に対して何を話したかというと、主に現在の仕事の愚痴だった(笑)。ただそれは今現在、目の前にあるリアルな問題でありながら、自分の根本に通じるものでもあって、あんまり言葉にしたことがないようなことだった。

今の職場で左隣に座る、鉄人のように頑丈でパワフルで明るい入社2年目の女の子が、毎日のように深夜2時3時まで鉄人ぶりを発揮して働きながら、そして全然平気そうに振る舞いながら、本当はとても苦しんでいて、もう限界が近いこととか。

職場で右隣に座る、どんな嫌なことも大変なことも柳のようなしなやかさでやり過ごす、尊敬する上司が、実質的に誰も助けることができずやっぱり苦しんでいることとか。

そんなそばにいる人の感情の波がすごくリアルに伝わってきて、ときどきいたたまれなくなることとか。

自分には昔から、他人の感情をまるで自分の感情みたいに感じてしまう癖があることとか。

そしてそれを感じながら自分には何もできないこととか。

Mちゃんは素足に履いたスニーカーを(それは以前にこの店で飲んだときのMちゃんの服装)、カウンターの下でぶらぶらさせながらしばらく考えた後、言った。

そんなふうに、他人の感情に対して自分を開きっぱなしで生きるっていうのはさ、自分のエネルギーを使って他人の人生を生きてることなんだよ。
それってちょっと考えるよりずっと消耗するよ。普通の人にならとっくに閉じてると思うよ。そうやって開きっぱなしで生き続けるには、すごいパワーが必要だなんよ。
(お酒を一口)
だけどもし必要なだけのパワーがあれば、逆のことができる。
その人はただそこに存在しているだけで、周囲の人を変えられる。
ポジティブな影響を与えられる。
そして、そうやって閉じないまま生きてるというのは、もしかしたら何か意味があるのかもしれないよ。


それからMちゃんはトイレに立ち、ぼくは彼女の言葉の意味を考えながら、戻ってくるのを待っていた。

気がつくといつの間にか誰もいなくなった飲み屋の真っ暗なカウンターにひとりで取り残されていて、閉店したというよりもずっと前から営業もしてないような感じで、Mちゃんもどこにもいなくて、どうしたものか途方に暮れた。

そして突然、Mちゃんはこっちの世界にいる間、いつも「自分のエネルギーを使って人の人生も引き受けて」生きていたんだということに思い至り、なんだか叫びだしたいような気持ちになった。

目が覚めたら泣いていて、夢を見て泣いたというのはたぶん生まれて初めての経験だった。
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