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コンプレックス補助線、エロ補助線、そして壮大な補助線としてのフロー状態 [アウトライナー]

以前にも紹介したことがあるけど、個人的オールタイム愛読書のひとつ、木村泉「ワープロ作文技術」(岩波新書)

今となってはふるーい本だけど(1993年だぜ)、コンピューターを使って文章を書く作業(つまり、現代のほとんどの文章を書く作業)について、今読んでも示唆に富んでいる名著です。

中でも感銘を受けたのが「コンプレックス補助線」という手法。同じ部分を以前の記事でも引用したけど、この部分大好きなので改めて(木村先生の名文も堪能してね)。

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 人は誰しも何ほどかのこだわりを持っている。周知の「コンプレックス」というやつである。やっかいなものだが、文章を書く上では結構役立つ。精神的エネルギーを引き出すための起爆剤として役に立つのである。
 ワープロは、どんな文章を打ち込んでも平気である。腹の立つこと、明らかに自分の偏見なのだが、どうしても口に出してみたくてたまらないことなど、そのまま打ってしまってもワープロが爆発することはない。もちろん人に見られては困るが、あとで編集して消しておくことさえ怠らなければ、物議をかもす原因になることはあり得ない。
 そこで、当たり障ることをかまわず打ち込んでしまって、そうすることによって文章書きに勢いをつける、という手がある。打つだけ打ってあとで読みなおしてみると、たいていの場合気が納まっていて不当なことは不当に見えてくる。だからそういう暴言の類は消す。実際、消したくなる。あとには筋道の通った、しかし迫力のある文章が残る。これは一つの、きわめて有効なテクニックである。
 このやり方は、幾何の証明で補助線を引く、というのとよく似ている。補助線は証明ができてしまえば用済みになる補助手段だが、うまく引けば驚くべき効果を発揮する。こだわりも最後には文章の表面から消してしまわなければならないが、上手に使えばなかなか効果的だ。
(木村泉「ワープロ作文技術」p165- p166) ※強調Tak.
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文章に書いてしまうと差し障りがあるけど、それを書くことで勢いがつく。あるいは書き出すきっかけになる。なら、敢えて書いてしまえ、ということ。「補助線」の助けを借りて、本来書かれるべき部分もずるずる出てくるかもしれない。少なくとも、萎縮して筆が止まってしまうよりもその可能性はずっと高い。

文章が書かれてしまえば、「補助線」部分は用済みなので「人様にお見せする前に」消してしまう。



不思議なのは、跡形もなく消してしまったはずなのに、その気配は確かに残ること。ポジティブな「補助線」ならポジティブな気配が、ネガティブな「補助線」ならネガティブな気配がちゃんと残る。

それを逆用して、敢えて気配を残すために「補助線」を使うこともできる。

エロ話をリアルに具体的に克明にいやらしーく(擬音とか入れちゃって^^)書き出しておいて、後半の堅い部分だけを残して消してしまう。なんてことない文章なんだけど、後にはそこはかとなく*色気*が残る。個人的にこれを「エロ補助線」と呼んでいる。このブログでも何回かやりました。

この「補助線」という技法(と言っていいだろう)、無意識には誰でもやってるのではないかと思うんだけど、意識的に利用できるようになったのは、やはりコンピューターを使えるようになってからのことだと思う。

特にうまく書き出せないとき、気分が乗らないとき、非常に効果的なのでやってみてください。



書くことに没頭していると、あちこち連想が飛び回って収拾がつかなくなることがよくある。通常それは、文章がうまく書けなくなる典型的なパターンだ。

だけど、次々に連想が浮かび、途切れることなく書き続けられる状態とは、つまり気持ちが乗っている、頭が活性化している、フロー状態に入っている、ということでもある。

こういうときに書いたものには、小手先でまとめようとした文章にはない何かがあることが多い。熱気がスクリーンなり紙なりに投射されているのだ。だから、無理に枠にはめてフローをせき止めない方がいい。

むしろコンピューターを使ったライティングでは、この状態を大がかりな「補助線」と考えて、積極的に利用してしまった方がいい。

コンピューターがあるなら、あちこち拡散したピースを寄せ集め、本来書かれるべきテーマに収束させていくことが容易にできる。そのためにいちばん役立つツールは、もちろんアウトライナーだ。

「補助線」である以上、最終的なテーマから外れた部分は、容赦なく、断固として、切り落とす。切り落としても、フロー状態のとき投射されたエネルギー、熱気はちゃんと残っている。それは、はじめからテーマに沿って、お行儀良く枠にはめようとしたなら、失われてしまったはずのものだ。



意識的にフロー状態を作って連想を広げ、後からフォーカスを絞って収束させていくアウトライナーの使い方の一例を、以下の記事で紹介しています。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/renjitalk/outliners/case3.html
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